嵐は過ぎ去り、今は、損害を評価し、混乱を片付け、そして何をどのように再構築するかを熟考する時が来た。ジェシカ・マシューズとジョナサン・カーシュナーは、バイデン政権が引き継ぐ事になった、壊れ、毀損した世界と、その諸国の指導者達はワシントン政府をどのように捉えているかに就いて吟味する。又、ロバート・ケーガンは、米国が地政学上に大きな重責を抱えるのに対し、国民は控えめな役割を好む、この両者の隔たりを分析する。そして、ルーベン・ブリギィティーは、我々米国人が乗り越えねばならない国内の深い分断に就いて探求する。
又、私自身による後掲の寄稿は、歴史は果たして進むべき道筋を示唆し得るかを問い、もし、そうならば、バイデン新政権はどのようにそれを見出し、従って行くかを考察する。当誌編集に携わり20年を経て、当号が私の手掛ける最後の発刊となる。この投稿を以って、自身の退任の挨拶に代え度い。
当誌は、第一次大戦の後、大国には果たすべき責任がある事を信じる米国人達により創刊された。米国は世界から逃れ隠れる事は出来ない。外界への関与を、知的に、そして建設的に図るべきなのだ。その為には、公けに議論を行い、広く知らしめる場所を必要とした。この専門誌の発行は、こうして1922年に始まった。新しく創設された当誌の理念に就いては、ジョージ・ケナンの手による、ハミルトン・フィッシュ・アームストロング氏(当誌創刊初期からの中心的人物)追悼記事の中に、次の通り実に的確に述べられている。
=引用始=
人々の意見の為の組織であるが、自ら見解は表明しない。事実、思考、冷静な意見の応酬の場であるが、偏狭な見解、怒り、個人攻撃の為に誌面は割かない。文体は冷静且つ真剣であり、見せ掛けのものは無い。掲載選考の主要基準は、一重に“重要性”に尽き、それは題材が俊逸で独創的である事に起因するか、著者の権威に起因するかを問わない。しかし、その思考の明瞭性、内容の重要度、言語の穏当性の評価に際し、寄稿者が一般人であれ、権威ある著名人であれ、如何なる配慮も加えられる事はない。
=引用了=
フォーリン アフェアーズ誌は、一世紀近くに亘り、この道から外れる事は一度もなかった。私の在任期間、この伝統を受け継ぎ、守って来られた事は、誇らしくも光栄で、喜びと致す所です。 ギデオン・ローズ 編集長
コメント