【フォーリンアフェアーズ誌 ガイド / 2024年7月・8号 掲載論文の概要紹介】(Foreign Affairs 2024年 July/August号 、The Council on Foreign Relation出版)

 当月同誌は、訳者の知る限り、ここ数十年来で最も衝撃的な内容を含む号だ。来る11月の大統領選に向け、共和・民主両党の論戦を誌上企画するのは当然として、大問題は、当該誌がトランプ共和党に著しい肩入れ表明をした点だ。一般諸紙であれば、それぞれのイデオロギーに基づき、望ましいと考える特定政党を支援・応援するのは常だ。然し、殊(こと)『フォーリンアフェアーズ誌』に限り、その例外として、104年前、外交問題評議会(超党派組織)により創刊された、同誌発行趣旨とは「外交問題に関し活発な議論の場を提供する事に在り、従い、多様性を重視し幅広い諸主張を汲み上げ誌上発表するが、“同誌自身は如何なる論説にも汲みせず、その発表内容自体に責任を負わぬ”」点が、創設以来銘記されて来た。今般、之に悖(もと)る姿勢が打ち出された点が衝撃なのだ。

 当月同誌は、表紙に『新しい外交政策が米国には必要なのか?』と銘打ち、民主党と共和党を代表し、それぞれベン・ローズとロバート・オブライアンの論評一騎打ちの体裁を整えた(両氏はそれぞれ、民主、共和党政権内でポスト就いた実績を持つ)。然し、両者外交政策の主張は全く嚙み合わない。と云うのも、単純頭脳で威勢丈が信条のオブライアンはトランプの嘘主張を声高にコピー放言する一方、ローズは民主党支援者で在り乍らも公平にバイデン政権の功罪をも分析する。即ち、両論を共和VS民主の構図で見れば、一点の迷い無く突き進む、強固なトランプ共和党と、内部が一枚岩ではない軟弱な民主党と云うイメージ対比が鮮烈となる。謂わば、二人のセールスマンを、片や嘘八百並べて製品をひたすら自慢する男と、謙虚に商品の欠陥も言及する男とを並列に並べれば、どちらに勢いが在り目先の売り上げが伸びるかは、火を見るより明らかだ。

 更に、今月同誌は、論評に添える挿絵と写真を利用し、サブミリミナル効果を露骨に駆使した節が在る。即ち、「ヨレヨレで逆境をとても挽回出来ない民主党」と「若々しく力強く、中国を抑え込む共和党」と云う、極めて不公正な印象操作にも手を染めたのだ。(バイデンの挿絵は、顔中皺だらけの老人然とした彼が、逆風に傘を差し立ち往生し一歩も進めない様子。対する、トランプの写真は、前政権時の習とのツーショットで、当然7年前の写真の彼は若く強く見栄えが良いのみならず、斜め後ろに立つ習の映像はピントがぼやけて影薄く、一層トランプを際出たせる効果てき面だ)。

 理解に苦しむのは、それ丈に止まらない。即ち、2024年5月27日付で外交問題評議会がフォーリンアフェアーズWeb版に公表した論稿『”米国第一主義”の世界 ~トランプ政権復帰が国際秩序に齎(もたら)す影響~』ハル・ブランズ著(当ブログで5月29日付緊急掲載)が、当月本号の掲載論稿の選から漏れている事だ(ハード書籍発行及びWeb版共に)。同稿は、トランプ・リスクを論じる近来の諸稿中でも珠玉の見識であると訳者は確信した。従い、同論が当号で誌上掲載された上で、同見解に対し内外から賛否・反論が堂々展開される事を期待した読者が、訳者のみならず大勢いた筈だ。それにも拘わらず、当該号からハル・ブランズの見解は完全封殺されたのだ。読者は皆、斯かる当月論稿選定に関しては、失望を越え、唖然としたのではないか。

 ハル・ブランズの論稿が紹介されない代わり、当月号に登場する民主党派論者の論稿は、 民主党内少数派のプログレッシブ派(バーニー・サンダースに代表される所謂改革派)を擁護する論だ(『米国権力に対する、民主党改革派の提言 ~世界に対する影響力縮小は益より害が上回る~』、メーガン・A.スチュアート、ミシガン大学教授等共著)。同論は民主党の在るべき姿の論を真剣に主張するものの、バイデン政権に対する修正点提言を主眼とし、之は寧ろ民主党内の相打ち、共食いの様相だ。つまり、共和VS民主の構造で云えば、一枚岩の共和党に対し、本来一致団結して之に当たるべき体制に民主党が未だに分裂状態との、強烈なイメージ与えるものだ。

 今から50年前、同誌は確かに『世界で最も権威ある雑誌』との栄光に満ちた評判に揺ぎなかった。創業100年経過すればどんな組織も劣化する。腐食は、実は創刊直後から、遅々として進行したのか、或いは、現編集長の下に急激発症したかは不明だ。然し、木造建造物に例えれば、築後時を経て劇場舞台の土台に腐食が高ずれば、やがては、劇場そのものも崩落し得る。土台に蔓延(はびこ)る深刻な腐食が検分された今、我々に出来るのは、論壇で見解を披露する側の人々に対し、彼等識者達の一層の奮起を願い、その舞台の演題内容を視聴する側の読者達に対しては、一層厳しい評価の目を忘れずに欲しいと祈る事だろうか。次号以降の同誌動静を注視したい。

 扨て、当月号にも、注目すべき俊逸な論稿は散見される。当月、唐突に「国際関係に現実に適用可能な諸法則は何か」と銘打つ特集が組まれ、6名の教授達が招聘され、各位が国際諸事象を司る論理的枠組みと実際の外交政策上の諸前提との関係を分析する。寄せられた諸論稿の品質はその出来・不出来にかなりばらつきが大きいが、チャールズ・L.グレイサー氏による『恐怖の要因 ~“安全保障のジレンマ”に陥った国家の見分け方~』は露西亜と中国の行動背景に関し示唆に富む論稿だ(同氏はジョージワシントン大学教授)。

 又、一般投稿の部では、エスワール・プラサード著『最強の通貨米ドル ~世界を支配するドルは益々揺るがぬ理由~』は改めて“強いドル通貨”の実情を再認識させる説得力ある論だ(同氏はコーネル大学教授)。一方、翻って本邦を顧みるに、無能な中央銀行総裁が二代続き、自国通貨の健全性が地に堕ち乍らも、その行動に対し政財学界マスメディアが挙(こぞ)って明き盲(あきめくら)を装う状況下には、寧ろ、民衆間に日本銀行不要論に火が付き、EU通貨圏の如く、将来日本をUSドル圏に組み入れた方が、長期的に当国経世済民の向上が得られるべしとの論が、我が国内に噴出したとしても、之は又、宣(むべ)なる事だろう。

尚、当号の興味深い論稿は、順次翻訳し紹介する予定です。

【フォーリンアフェアーズ誌2024年7月・8月号 掲載論文一覧】

(論稿)

  1. 『世界情勢に則した外交施策 ~バイデン政権による新しい米国戦略を模索する~』著者:ベン・ローズ(A Foreign Policy for the World as it Is  ~Biden and the Search for a New American Strategy~, By BEN RHODES) 
  2. 『強権によって平和は回復される ~なぜ、トランプ式外交策が成功するか説明しよう~』著者:ロバートC. オブライアン(The Return of Peace Through Strength ~Making the Case for Tramp’s Foreign Policy~, By ROBERT C. O’BRIEN)
  3. 『アラブ世界を喪失しつつある米国 ~そして、それが中国を利する事になる~』著者:マイケル・ロビンズ、アマニー A.ジャマル、及びマーク・テスラー共著(America Is Losing the Arab World  ~And China Is Reaping the Benefits~, By MICHAEL ROBBINS, AMANEY A. JAMAL, and MARK TESSLER) 
  4. 『ハマスが行き着く先 ~同組織を自滅させる戦略を提言する~』著者:オードリー・カース・クローニン(How Hamas Ends  ~A Strategy for Letting the Group Defeat Itself~, By AUDREY KURTH CRONIN)
  5. 『グリーン・ピース ~気候変動対策が、地政学上の国際不協和をも克服可能にする~』著者:メーガン L.オサリバン、ジェイソン・ボルドフ共著(Green Peace ~How the Fight Against Climate Change Can Overcome Geopolitical Discord~,  By MEGHAN L. O’SULLIVAN and JASON BORDOFF)
  6. 『知らぬ間に戦争へと歩を進める米中関係 ~21世紀に世界が体験した悲劇的教訓を両国は生かせるか?~』著者:オッド・アルネ・ウェスタッド共著(Sleepwalking Toward War ~Will America and China Heed the Warnings of Twentieth-Century Catastrophe? ~, By ODD ARNE WESTAD) 
  7. 『米国権力に就いて、民主党プログレッシブ派の主張 ~影響力縮小は便益より害を齎(もたら)す~』著者:メーガン A.スチュワート、ジョナサン B. ペトキン、マーラ R. レフキン(The Progressive Case for American Power ~Retrenchment Would Do More Harm Than Good~, By MEGAN A. STEWART, JONATHAN B. PETKUN, and MARA R. REVKIN )
  8. 『最強の通貨米ドル ~世界を支配するドルは益々揺るがぬ理由~』著者:エスワール・プラサード(Top Dollar  ~Why the Dominance of American’s Currency ~Why the Dominance of American’s Currency Is  Harder Than Ever to Overturn~, By ESWAR PRASAD)

【特集】国際関係を現実に司る法則を探る(The Real Rule of International Relations)

特集に組まれた6篇の論稿と概要は以下の通り:

  1. 『恐怖の要因 ~“安全保障のジレンマ”に陥った国家の見分け方~』著者:チャールズ・L.グレイサー、ジョージ・ワシントン大学教授、兼マサチューセッツ工科大学上席研究員(Fear Factor  ~How to Know You’re in a Security Dilemma~, By CHARLES L. GLASER、同誌2024年7月・8月号 P122-128)

【訳者寸評と論稿概要】

 グレイサー教授は、興味深い国際関係理論を提供、露西亜のウクライナ戦争及び米中対立先鋭化問題の理解を深めるに有用だ。具体的問題解決の策に言及ない点は、無責任にして喰い足りなさを禁じ得ないが、抑々(そもそも)本特集の意図が其処にない以上、著者の責任は問えぬ。

 著者が指摘する「安全保障のジレンマ」とは、自ら侵略する意図を持たない二国が、互いに専守防衛の為に増強するにも拘わらず、各々が相手側を攻撃的軍拡と判断し、紛争発展に至るケースだ(相手からの侵略を防ぐ為の防衛強化が必要と考えるので、増強の選択を双方が捨てない)。オバマ政権が亜細亜シフトを謳い実施した、米国の防衛的軍備増強を、中国習近平は攻撃的配備増強と解釈し、以降緊張が高まったのが、その典型事例である。

 更に、台湾を巡る現在の米中問題に当て嵌めれば、極めて悲観的結論が導き出される。つまり、台湾の軍事防衛の約束を米国が維持すれば、中国は武力的対抗を強めて将来大規模戦争へ発展、或いは、米国が武力による台湾防衛を放棄すれば、中国が軍事侵攻による占領を含め台湾島統一を果たす、この何れかのシナリオしか残らぬ、と云うのが著者の主張だ。

 一方、露西亜に関する分析。ウクライナ侵攻勃発当初、その原因を「プーチンの拡大主義に求めるか」、或いは「NATO拡大の脅威に対する防衛行為とみなすべきか」で議論を生んだ。著者は、その何れかに断定するのが誤りで、現実は「露西亜は侵略的にして、且つ防衛的措置をも講じる」両面を合わせ持つ国家と指摘。その結果、セオリーに基づく「牽制」或いは「抑制と話し合い」と云う単一的対処策は、この手の国に対し機能せず、所詮、プーチン侵攻を事前に回避する外交政策手段が存在しなかった、と云うのが著者の冷徹な見解である。

2.『戦争抑止力の考察 ~民主主義国間には平和が驚異的耐性を以って保たれる訳~』著者:マイケル・ドイル、コロンビア大学教授(Why They Don’t Fight ~The Surprising Endurance of the Democratic Peace~, By MICHAEL DOYLE, 同号P135-P141)

【訳者寸評と論稿概要】

「民主主義国家同志は戦争をしない」のは、ある種“灯台下暗し”の真実だ。18世紀末、独逸(ドイツ)哲学者カントは自身のエッセイ「恒久平和」に、憲法に基づく三権分立と、集団安全保障体制下に、共和諸国家が平和創造出来ると説いた。そして、事実、民主主義国家が平和的傾向を持つ点は歴史研究により実証済である(“民主主義が平和を増進する”かと云えば、これは過剰宣伝の類で、“民主主義増進が功罪相半ばする”のが明白なのは、米国のイラク侵攻、西欧民主主義諸国のアフリカ・シェール地域の搾取行為等の反証事例の示す通りだ。それにも拘わらず、冒頭の命題丈は覆らぬ事実と云える)。

 其処(そこ)で問題となるのが、体制を異にする非民主主義国家との対立に如何に対処するかと云う点だ。嘗て米ソ冷戦が、民主主義VS共産主義と云うイデオロギーの対立構図だったのに対し、現在の新冷戦は米欧民主主義VS中・露専制主義という政治体制の対立に変化している。

 著者はカントとジョン・F.ケネディの思想の流れを汲む“民主主義平和論”者だ。即ち、「民意が反映される民主諸国家が、国際規範を遵守し、集団安全保障体制を確保し、平和を維持」する事を通じ、体制を異にする専制主義陣営との無用な紛争回避を提言する。一方、懸念点は、嘗てトランプ政権がこの“平和理論”を崩しに掛かり、独裁者達を賞賛するのみならず、同盟諸国に対しても敵対諸国同様、恫喝と争いを挑んだ事だ。バイデン政権は発足後、同理論への回帰と修復に努め、民主主義諸国と独裁主義国との線引きを再度明確化し、所謂“冷たい平和”あるは“緊張緩和”の実現を目指して来た。処が、一筋縄でいかぬウクライナ問題、台湾問題を抱えた儘の状況下に、世界は、再度、トランプ・リスクに直面しつつあるのは懸念材料だ。

3.『根本的諸原則は国際的破道を牽制する力を有する ~現在尚も有効に機能する諸規範を探る~』著者:タニシャ・ファザル、ミネソタ大学教授(The Power of Principles ~What Norms Are Still good for~, By TANISHA M. FAZAL, 同号P148-154)

【訳者寸評と論稿概要】

 国際関係は、ややもすれば、弱肉強食や暗黒森林状態に陥りがちである。それらを防ぐ為に、国際規範の存在が有効に機能すると説くのがタニシャ・ファザル(ミネソタ大学教授)だ。

 国際規範を巡り国家間が紛争する事例は、紀元前5世紀のペロポネソス戦争を体験した、著述家ツキディデスの「戦史」に既に登場する。即ち、権勢を誇るアテナイ国が、弱小島嶼国のミロス(スパルタ国側植民地域に所属)を武力で威嚇し服従を迫り、片やミロスは「中立」の権利を主張した事案だ。(アテナイ側使者が“力こそは正義なり”の論を振り翳し降伏勧告を突き付けると、ミロスは“万国の利に叶う法順守により、中立国家の立場が守護されるべき”と反論展開するが、交渉は決裂、ミロスは“自由人として戦って死すか、さもなくば、奴隷の生活に甘んじるか”の選択を迫られる。結局、ミロス国民は前者を選び、戦いに敗れ成人男性は全員処刑、婦女子は奴隷化された)。遥か昔日の出来事とは云え、今日のウクライナの最悪シナリオを暗示するかのようだ。

 著者指摘によれば、国際関係の研究分野で、“国際規範”にスポットが当たるのは、漸く1900年初頭以降の話で、実にツキディデスの時代から2300年以上が経過していた。その間、“力の論理”が如何に長く人類を支配した証と云える。

ともあれ「国家の振る舞いを抑制する規範を制定すべし」の観点から、当時、法律家達が先ず研究開始、その成果は、第一次世界大戦を経て、1928年、ケロッグ=ブリアン条約により“国際紛争解決の手段としての戦争放棄”が宣言され、一つの結実を見たのだった(仏米始め、ソ連、日本含む60ケ国調印)。

 それから、今日迄の凡そ百年間、国際規範に関して、様々な理論が登場し、第二次世界大戦と冷戦と云う試練を経て、紆余曲折しながらも、曲りなりにも規範を支持する思想が主流を維持しているのだ。

[ 百年の変遷を簡便に振り返れば、「戦争放棄」を唱えた“理想主義”は、楽観論に過ぎぬと嘲笑され、政治と力を重視する“現実主義”が優勢化。そして、第二次世界大戦の悲劇を経て、国際規範は再着目され、1948年の国連『人権宣言』が実現。1970年代は“新現実主義”と“新自由主義”の二学派が、それぞれ「力による支配」と「国際協調」を旗印とし論争展開。1980年代頃から、再度、現実主義を否定し、規範の重要性を訴える学者達が諸分野で活躍(核兵器問題等を含む)、斯くして、学術上には、「規範の重視」が国際関係論の中心地位を得るに至った。]

 現実の国際社会に於いても、規範による牽制力は曲りなりにも一定程度効果を発揮していると云うのが著者の主張だ。大国と雖(いえど)も規範を犯せば代償を伴う(ウクライナ侵攻により露西亜が経済制裁を被っている事例、等)。然し、諸大国がより強い権利を主張する実態に加え、米国自身のダブルスタンダード適用と云った、改善すべき諸問題点が在る為、国際規範の機能をより有効に継続するには、修繕と改革へ向け弛まぬ努力が必要と筆者は説く。具体提言として、著者はグローバルサウス諸国を重視(国連改革と気候変動支援)を訴える。然し、何よりの憂慮点は、トランプ前大統領による共和党支配が、議会を分断しウクライナ支援をも停滞させた事実に見る通り、米国政治が劣化すれば、国際規範が衰退し、全世界が患う点だ。

尚、保守白人学者であれば口が裂けても言及しない「アメリカン・インディアン問題」を、さらりと彼女が著述する件には、読者は思わず頬を緩めるだろう(“米国が、領土侵害に対し高らかに異を唱え始めたのは、インディアンを征伐し西部開拓を進める前ではなく、それを済ませた後だ”)。

4.『危険なゲーム ~権力の変遷は常に戦争を惹き起こすか?~』著者:マンジャリ・チャタジー・ミラー、ボストン大学准教授(The Most Dangerous Game ~Do Power Transitions Always Lead to War?~, By MANJARI CHATTERJEE MILLER, 同号P128-135)

【訳者寸評】既成権力と新興勢力との不可避的衝突を説く、所謂“ツキディデスの罠”は既に人口に膾炙し久しく、新味を欠く論稿。

5.『“危機下に貫くべき正義”が招く罠 ~“言行一致”を証する為に仕掛ける戦争は是か否か?~』著者:カレン・ヤヒ=マイロ、コロンビア大学教授(The Credibility Trap ~Is Reputation Worth Fighting for ? ~, By KEREN YARHI-MILO, 同号P116-122)

【訳者寸評】1938年、英仏がナチス独逸に日和って締結した『ミュンヘン合意』を典型例とする、“危機に貫くべき正義”がなされず妥協すると何が起こるか、反対に、現行一致に拘泥すると如何なる危険を生ずるかの観点より、米国近代外交史の分析を試みる論。前半の各学者の提唱した諸理論はマメ知識として参考になるが、其処から著者が導き出す結論は常識の範囲内で新味はない。

6.『経済と平和の関係考察 ~国際経済相互依存が平和に寄与する場合とそうでない場合~』著者:ステファン・ブルックス、ダートマス大学教授(The Trade Truce?  ~When Economic Interdependence Does―and Doesn’t―Promote Peace~, By STEPHEN G. BROOKS, 同号P141-147)

【訳者寸評】中国経済に対し、米国依存強化と、デカプリングの良策得失を考察試みるがどちらつかずで論文の体をなしていない。

(了)

文責:日向陸生

*尚、当ブログ翻訳文章は生成AI機能一切不使用です。

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